インドネシアの伝統布・バティックとは?

インドネシアの伝統布・バティックとは?


色と模様に文化が宿る、一枚の布の物語


インドネシアを旅していると、ふと目をひく布があります。カラフルな模様、細かい線、そしてどこか落ち着いた品のある雰囲気。その布こそが、インドネシアの伝統染織文化「バティック」です。


かつては王族の衣装として使われていたこの布は、今では結婚式や宗教行事、ビジネスの場から普段着まで幅広く使われていて、インドネシア人にとってとても身近な存在。ユネスコの無形文化遺産にも登録されているこの伝統技法には、染めるだけではなく“語る”力があります。

バティックってどんなもの?


バティックは、ろうけつ染めと呼ばれる技法で模様をつけた布です。布の上にロウで模様を描き、その上から染料で染めることで、ロウを塗った部分だけ染まらずに模様が残る、という仕組み。
自然や動物、幾何学模様、神話の登場人物などがモチーフになっていて、地域ごとに模様や色づかいのスタイルが異なるのも面白いところです。中部ジャワでは、落ち着いた色と繊細なパターンが王宮文化の名残として多く残っています。

バティックはどうやって作るの?


バティック作りには、主に2つの技法があります。
・ 手描き(バティック・トゥリス):チャンティンと呼ばれる細い道具を使って、布に直接ロウで模様を描く方法。非常に時間がかかり、職人の熟練度が求められる分、仕上がりは一点ものの芸術品。


・型押し(バティック・チャップ):銅製のスタンプでロウを押して模様をつける方法。スピーディーに作ることができ、量産品やカジュアルなバティックはこちらが多いです。
どちらも、ロウ付け→染色→ロウを落とす→乾燥、という工程を何度も繰り返して仕上げます。

インドネシアではどんなときに着るの?


バティックはTPOに応じて着こなしを変えられる、とても便利な布でもあります。
・結婚式やお葬式などの冠婚葬祭では、特別なバティックを正装として着用します。
・ 学校や企業では「バティック・フライデー」と呼ばれる、金曜日にみんなでバティックを着る文化もあります。
・若い世代の間では、モダンなデザインのワンピースやシャツとしてカジュアルに着こなすスタイルも人気。
バティックは、伝統を大切にしながら、今の暮らしにも馴染んでいる服なのです。

旅行中にバティックを体験するなら?


観光中に実際に自分でバティックを作る体験ができる場所もあります。


ジョグジャカルタ(ジャワ島)


・ Batik Seno:予約不要で初心者OK。1.5時間の気軽なコースから本格体験まで選べます。

住所Jl. Mantrijeron 3/800, Yogyakarta

公式サイトBatik Seno

・ Batik Winotosastro:老舗工房で、予約すれば少人数でもバティック体験が可能。お土産にもなる布作品が作れます。

住所Jl. Tirtodipuran No.54, Yogyakarta

TripAdvisorページトリップアドバイザー

 

バリ島(ウブド)


・ Widya Batik Class:5時間で本格的な手描き体験ができる、地元でも評判の教室。

住所Jl. Sri Wedari No.61, Tegallantang, Ubud

公式サイトWidya Batik Class


・ I Nyoman Warta Batik Class:絵心がなくても楽しめる、フレンドリーなワークショップ。

住所Jl. Gautama No.12, Ubud

公式サイトTumblr

 

・ Five Art Studio:自然の中でバティック体験ができる、癒し系スポット。

住所Keliki Village, Ubud

公式サイトfiveartsubud.com

 

お土産に買うなら?


・ 地元の市場(パサール)なら安くて種類豊富。ただし品質はしっかりチェック。

・ 伝統工芸店(Danar Hadi、Batik Kerisなど)なら高品質でギフトにも最適。

・ 空港やモールではモダンなデザインが多く、手軽に買えるのも魅力です。

 

【そして今、バティックは進化している】


伝統を守る一方で、バティックは今も新しいかたちへとアップデートされています。
最近では、伝統模様を現代風に再構築し、日常のファッションとして取り入れやすくデザインしたブランドも登場。それが『bateeq』というブランドです!


クラシックなモチーフをモダンに再解釈したプリントシャツやドレスは、インドネシア国内外のファッション好きからも注目を集めています。

 

bateeqを日本に輸入した『bateeq JAPAN』というブランドもあります。詳しい商品情報は商品ページを確認ください。

 

まとめ


バティックは、模様がきれいなだけの布ではありません。そこには歴史があり、物語があり、人の手のぬくもりがあります。旅の思い出に、自分で染めた一枚を持ち帰るのも素敵だし、今どきのスタイルでさらっと着こなしてみるのもあり。
一枚の布からインドネシアを知る旅、始めてみませんか?

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